夏の終り 感想

綾野剛満島ひかり目当てで夏の終りを観てきました。もともと、綾野剛が大好きで前売りを発売直後にゲットしていた私は待ちに待った公開でした。観に来ていた方々は、高校生からお年寄りまででしたね。かなり幅広くてびっくり。

・主人公・知子を演じるには満島さんはまだ若すぎたような気がします。知子が喋ると、38歳なのに幼さを感じてしまうので、せめてあと5年は欲しかったかも。
・撮り方や小物の使い方は美しかった。見惚れちゃいました。美術さんの力ってすごいなぁ。
・事前に原作小説を読んでから映画を観たので、もっと映画では重くてドロドロした感じかと思いきや案外あっさりした内容でした。ちょっと物足りなさはあるかも。
・涼太は思ったよりあっさり身を引いていたのでちょっとつまらなかった。結局、知子は慎がいないと落ち着かないわけで、涼太に走ってしまったのは一瞬の気の迷いみたいなものもあったような気がする。
・「〜ですの」とか現代ではほとんど言わないので、この映画では知子がそういった口調なのはいいんだけど、昭和をあまり感じさせない満島さんが言うとなんだか馴染まない。
・知子が涼太と電話するシーンでの剛くんの声での演技が素晴らしすぎる。声優さんのようだった。声で表現するってなかなか俳優さんでもできないことだから、そういう才能を持っている剛くんはやっぱりすごい。
・泣いて電話してきた涼太に「酔ってるのね」と冷たく突き放す知子は同じ女っていう生き物としてみたら怖いという一言しか出てこない。満島さんの冷酷な表情に鳥肌が。
綾野剛はなぜそんなに哀しい顔をするのか。なぜあんなに哀しい眼をしているのか。なぜあんなに哀しい声なのか。観ているこっちまでもを哀しくさせる。
・涼太が髪をくしゃっとする癖の演技がよいですね。細かいところまで演じられてますな。
小林薫さんが激渋でかっこよすぎる。大人の男の魅力が詰まってますねー。
・個人的に薫さんの声がたまらなく好きです。大森南朋さんと一緒で聞く人の体に沁みわたってくる声だと思います。(声フェチ)
・涼太が知子を押し倒すシーンを観ていて切ないのかなんなのかよくわからない感情に。これはどういう感情なんだろう。
・夫に「好きな人がいるんです」と告げ、平手打ちをされたあとに「なんで好きなのよ!!」と地団駄を踏む満島さんの演技がたまらなく好き。予告で観たときから好きだった。知子が揺れる想いの狭間でもがき苦しんでいる気持ちがぐっと伝わってきた。
・私からみたら、子供と夫まで捨てられるほど涼太という男がそれほどまでに魅力があったのかとちょっと疑問に思った。小説を読んでても、映画を観てても。知子はダメ男専。
・時代背景だけに、喫煙シーンが多くて時代を感じました。喫煙シーン全然あってもいいのになー。
・とにかく一言で言ったら、この3人って恐ろしすぎる。知子はなぜそこまで長く不倫できて、慎はなぜそこまで家庭を大事にしているのに平気な顔をして不倫をしていられるのか、涼太はなぜそこまで知子に執着するのか・・・。
・3人は欲しがり屋さんなのかも。そして積極的すぎるのかも。
・観終わってから、兵庫に行きたくなった。ロケ地が雰囲気ありすぎて素敵ですね。
・満島さんと剛くんはいい意味で不安定な演技をしていて、小林さんは安定していてそのバランスの取り方が絶妙。
・寂聴さんって恐ろしいし、すごい女。強い。

正直、不倫ってしちゃダメなのかしていいのかこの映画を観たらなんだかよくわからなくなってしまった。もちろん、私は不倫なんてする気はさらさらないし、御免だけど、よく考えてみたら不倫しちゃう人って欲しがりなのかも。妻から捧げられる愛はもちろんうれしいし、奥さんのことは決して嫌いじゃないけど、自分の疲れ切ったとかを心を癒してくれるのは必ずしも奥さんだとは限らないと思う。愛にだって色んな形はあるし、愛し方や愛情表現は人それぞれ。たぶん、不倫しちゃう人は愛を常に求めてると思うし、誰かから愛されたいっていう願望が非常に強いんだと思う。でもやっぱり愛してしまったら愛してしまった以上、もう嫌いになれないし、誰にもとめられないと思う。不倫でも普通の恋愛でも。この映画を観て、本当にそれを考えさせられたし、愛することや愛されることってどんなことか少しだけ分かった気がします。大人の映画だったので、私にはまだ早すぎたのかも。
内容以前に欠点を挙げるとすれば、時系列が非常に分かりにくかったです。過去なのか、現在なのかいまいち分かりにくくて、知子の服装や周りの背景をよく観ていないといけなかったので理解するために必死でした。原作も時系列が分かりにくいので、映画では多少分かりやすく描いてくれるとは思ってたんですがちょっと期待外れでした。そこだけでも分かりやすかったら、一回観ただけで原作を読んで分からなかったところがすっきりすると思ってたんですがね・・・。まぁ俳優陣の演技はわたし好みだったし、時代背景もどストライクでした。でもやっぱり、まだ私には早すぎた映画でしたw(´・ω・`)まだ本気で恋愛もしたことがない若者が観ると、抱く感想はちょっとずれてしまうもんなんですねー。結果として、ただの主要キャスト3人を褒め称えた感想しか浮かんできてないような気がした。でも、BGMは好きなので、サントラ買う可能性が大きいです。いつか本気の恋愛をした後でもいいし、仕事をし始めてからでもいいので、観返せるようにDVDも買って手元に置いておくのもいいかもなー、と密かに計画中。この映画の醍醐味ってもしかして、3人の喫煙シーンのかっこよさと小道具や着物の美しさを鑑賞することかもなー、と本当に最後にボソッと呟いてみる。